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音楽系です。大学生です。

【今日のアルバム】Tame Impala - 『The Slow Rush』(2020)

すごく好きなアルバムです。

 

 

The Slow Rush

The Slow Rush

  • アーティスト:Tame Impala
  • 発売日: 2020/02/14
  • メディア: CD
 

 

 

今、世間は非常事態宣言が出されて、大変な感じですね。そんなときは自室にこもって音楽を聴くに限ると思います。

 

今回はそんなときにお勧めのアルバム、今、世界で大注目のバンド、テーム・インパラの最新作、『The Slow Rush』です!

 

テーム・インパラはオーストラリア出身のケヴィン・パーカーという人物によるプロジェクトで、ほぼ全ての演奏をケヴィン1人で行ってるんですね。ライヴの時は固定のメンバーが別にちゃんといますが。

 

そんなテーム・インパラですが、2019年までに3枚のアルバムをリリースしており、そのどれもが評価が高く、特に2枚目の『Lonerism』と3枚目の『Currents』はその出た年の年間アルバムランキングや2010年代ベストアルバムランキングなどではほぼ確実に名前が上がるほどの傑作でした。

 

そんなこんなで2019年には世界最高のフェスの1つである、コーチェラフェスティバルでヘッドライナーを務めるほどにまでなり、今年のフジロックフェスティバルでも1日目のヘッドライナーで出演予定です。

 

名実ともに、世界トップクラスのバンドとなったテーム・インパラが4年半ぶりに出した新作アルバムが『The Slow Rush』なわけです。

 

そして、この『The Slow Rush』の評価なんですが、はっきり言っちゃうと全4作の中では評価は低い方ではあります(それでも、かなり高い評価ではあるんですが)。

 

理由としては、4年半という長いリリース間隔のわりに前作『Currents』からサウンド面での大きな変化が無かったこと、前2作と比べて地味な印象を受ける曲たち、バンドが作品をリリースする度に膨れ上がった期待との落差、なんかが挙げられると思います。

 

テーム・インパラは60年代からの影響が感じられる、ガレージでサイケな音作りだった2枚目の『Lonerism』で高い評価を獲得するも、3枚目の『Currents』では大胆なシンセサウンドにディスコやR&Bの要素を加えた音楽性にシフトし、批評家からの絶賛と商業的成功の両方を得た、という流れからまた何か新しいことを仕掛けてくるのではと期待した人も多かったようです。

 

ということで、評価だけで言ったらそこそこなアルバムなんですが、しかし、一方でファンからの絶賛の声も多かったのも事実。

 

実際、僕も『The Slow Rush』に関しては、良し悪し以前に好きって感想が強いです。

 

どこら辺が好きかといいますと、まずアルバムの内容が過去作と比べて、一番コンセプチュアルな内容になってるのが1つですね。歌詞は時間の経過というものを深く見つめる内容になっており、非常に味わい深い歌詞ですね。アルバムタイトルやMVからもそのそれが感じ取られます。

 


Tame Impala - Lost in Yesterday (Official Video)

 

歌詞で言うと4曲目の『Posthumous Forgiveness』なんかはかなり興味深い内容の歌詞ですね。

 


Tame Impala - Posthumous Forgiveness (Lyrics)

 

あと、さっきサウンド面での大きな変化はないって書きましたが、『Currents』から変わった点として挙げられるのが、ギターの音がかなり抑えられ、完全にシンセサイザー主体になったところですね。他には、以前よりもパーカッションを使った音作りになっていたり、前作のようなディスコ要素は残しながら、よりダンスミュージックへと向かっていった感じですね。

 

ギターに関しては、シンセに紛れてどこで鳴ってるのか、判断が付きづらいほどに存在感が薄くなりました。上に貼った『Lost In Yesterday』のMVではギタリストがギターソロ弾いてるような場面がありますが、実際のライブ映像を見ると、あのソロはシンセなんですよね笑。

 

ケヴィン自身、インタビューでは、今は90年代前半のハウス・ミュージックにハマっていて、その要素を今回試してみたと語っているようにかなり踊れる内容になってます。

 

そして、今作でかなり面白いなと思ったのが、ケヴィンは人工的な音の『Currents』から、よりオーガニックに、土臭いサウンドにしたかったということだったそうですが、結果として、2020年代の幕開けに相応しい、未来を感じさせる作品になったのが、タイトルと同じような矛盾をはらんでいるように感じたことですね。

 

このような矛盾というのはなにもテーム・インパラに限らず、メインストリームの最前線にいるDua Lipaですら『Future Nostalgia』というタイトルのアルバムを出したほどで、しかも80年代に活躍したバンド、INXSの『Need You Tonight』の有名なフレーズを拝借した曲まであるくらいですからね。

 

何回も聴くほどに味わい深い、テーム・インパラの4作目。状況が良くなって、無事に苗場でこのアルバムの曲を聴けることを祈って、外出自粛期間中は音楽を聴いていきましょう。

 

 


Tame Impala - One More Year (Official Audio)

 

 

アルバム本編には入らず、単独のシングルとしてリリースされた『Patience』も名曲なんで是非聴いてみてください。国内盤だとボーナストラックで入ってます。

 

 


Tame Impala - Patience (Official Audio)