My Space

音楽系です。大学生です。

音楽との接し方

最近、自分の音楽の聴き方が変わってきたなと思うことが多くなった。

 

 

 

Spotifyで音楽を聴き始めてから2、3年は毎週、大量に届けられる新譜や日々変わっていく自分の興味に合わせて、ただ直感で聴いていた。それまで音楽に飢えていたこともあったが、急に自分のスマホから世界中の音楽にアクセスできることの感動にどう対処していいかわからずに聴く音楽を選んでた部分があったと思う。

 

最近はある程度の月日が経ったからか、むやみにアルバムを選んで聴くというよりは自分の中の文脈を重視して聴くものを選ぶようになった気がする。

 

 

この間、ブルース・スプリングスティーンの『Born To Run』を聴きかえした。

 

初めて聴いたときは良いアルバムだけど名作選とかに載るほどのアルバムなのかなと思った。それからは、スプリングスティーンのアルバムは2019年の『Western Stars』と人気作『Born in the U.S.A.』を聴き、どちらも良いアルバムだと思ったがどこか自分の趣味に合わないと感じた。多分、自分はUKのロックみたいなのが好きなんだと勝手に思い込んでいたからかもしれない(今はむしろUSの音楽の方がどっちかというと好きなものが多いのだけれど)。

 

それからはブルース・スプリングスティーンというアーティストは自分にちょっと合わないんだと思ってきた。

しかし、なぜ『Born To Run』を聴きかえしたのかというと、自分の好きなアークティック・モンキーズの『Tranquility Base Hotel & Casino』というアルバムがブルース・スプリングスティーンと繋がる部分を持っていたからだ。

 

『Tranquility Base Hotel & Casino』の大きな影響元の1つはDionの『Born To Be With You』というアルバムなのだが、このアルバムのプロデューサーがかのフィル・スペクターであり、ブルース・スプリングスティーンフィル・スペクターに大きな影響受けていた。『Tranquility Base Hotel Base Hotel & Casino』のライナーノーツにもブルース・スプリングスティーンの名前が登場する。

 

ということでフィル・スペクターと繋げて『Born To Run』を聴いてみると、急にそれまでの印象が変わった。有名な表題曲のまるで地鳴りのような生命力あふれる音のパワフルさはフィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドと重ねることで自分の中での楽曲の理解度が一気に進んだ気がしたし、他の有名曲、『Hungry Heart』などでも同じような現象が起きた。この音とブルース・スプリングスティーンの力強いボーカルと歌詞が重なるとそれは最高なものが出来て当たり前だろうという認識になった。

 

このようなことが最近自分のなかでよく起こっているような気がする。自分が今聴いてる音楽がどういう意図を持って作られたか、それを頭に入れて聴くことで音楽の受け取り方は一変する。決して知識が最も大事とかそういうことでなくて、最後はやっぱり自分の生理的感覚がものを言うのだが、自分の嗜好というものは思っているほどあてにならないのだなと思う。

 

ここ1週間は、北米インディロックのフォーク的な音楽への志向というところに興味がいっている。始まりをたどるとニュートラル・ミルク・ホテルとかに行きつくのか、もっと古くにさかのぼるのかはわからないが、2004年にアーケイド・ファイアの『Funeral』に端を発すると考えられる北米インディの栄華を見ていく際に、サビで合唱が起こるようなスケール感の大きさ、コミュニティの連帯を感じさせるような音楽がどこかフォークと繋がる。スフィアン・スティーブンス、フリート・フォクシーズ、グリズリー・ベア、ボン・イヴェール、最近だとホイットニーとかの音楽からも共通したフォーク、ルーツ志向みたいなものを感じ取れるし、ウィルコやブライト・アイズといったバンドもそこに加えることが出来るかもしれない(あとベックとかも)。

 

自分がリアルタイムで聴いていなかっただけで、こういうところは2000年代~2010年前後は当たり前のように語られていたかもしれないが、自分には昨年のテイラースウィフトのようなことがあっても意外と振り返られていないここらへんのシーンには興味があるし、こうしたところから、ざっくりと括られるアメリカン・ロックというもののルーツ志向性もおぼろげに捉えられることが出来るのかなとも思った。あと、2010年代初頭のメインストリームでもイマジン・ドラゴンズとかケイティ・ペリーの『Roar』、ゴティエの『Somebody That I Used To Know』の大ヒットにもここらへんの北米インディの動きって結構関係があるんじゃないかとかも思ったり(特にアーケイド・ファイアの商業的成功とグラミー受賞は影響大きそう)。

 

 


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