【今日のアルバム】Bon Iver - 『i,i』(2019)
ポップに攻めてきた天敵
海外って良い意味で狂ってるよなって思う時がままある。
個人的にそれが強く感じるのが、ボン・イヴェールが海外では2万人規模のアリーナでライヴするほどの人気だってことだな。
ボン・イヴェールってそんなに大衆受けするような音楽じゃないと思うんだけどなあ。
少なくとも日本では見向きもされないに違いない。
というか日本の音楽界が狂ってるのかもね、向こうからしたら。
洋楽インディ好きなら誰もがご存じ、ボン・イヴェール。
あ、ちなみに当ブログではボン・イヴェールのことをボニー・ヴェアとは呼ばない方針でいきますよ。カート・コベインとかオエイシスとかナヴァーナとか気にしてたらめんどくさいしね。
例に漏れず、俺もボン・イヴェールは結構聴いてるし、天才的なアーティストだと思う。
けど、正直ボン・イヴェールの大ファンかと言われるとそうでは無いし、前作の『22, A Million』は絶賛されてたけど、ライトな音楽リスナーの俺は「良さが・・・わ、わからない・・・・」ってなってた。
あれは凄さは伝わるけど、好きかと言われたらよくわからん。
ボン・イヴェールをいまいち好きになり切れないことが一種のコンプレックスみたいなとこはあったし、今もそう。
ちなみに2ndアルバムの『Bon Iver』は好きよ。
そんな我が天敵ボン・イヴェールが出した新作『i,i』。
今回もまた意味の分からないタイトルだ。
で、このアルバムなんだけど、多分今までで一番ポップな感じだし、聴きやすい。
俺はずっとポップに振り切ったボン・イヴェールが聴きたかったから個人的にはありがたかったね。
けど、『Bon Iver』の1曲目の『Perth』を初めて聴いたときのような衝撃があるかと言われると今作にはそれが無いのが残念だった。
良作だとは思うけど、期待を良い意味で裏切るところまではいかなかったって感じ。
ゴスペルっぽいことをやったり、前作のように電子音を用いたテクニカルな要素も入ってるし、凄い音楽には違いないし、前作よりはポップで良いんだけど、あと一押しが足りないんだよなあ。
『Hey, Ma』は名曲だと思うし、グラミー賞ノミネートも嬉しかったけどね。
Bon Iver - Hey, Ma - Official Lyric Video
今作を聴いてから『22, A Million』を聴いてみると不思議と前より良いって思える。
なんか以前までの神々しさというか有無を言わさぬ凄みが薄れた気は少しする。
あと、歌詞が変わったわ、確実に。
1stとか2ndの頃は、歌詞が難解というか、単語はムズいし、理解しずらかったんだけど、独特の小説のような趣があった。
今作にはそれがあまり見受けられ無い。
まあ、別に歌詞が分かりやすくなったのは良いんだけど、それが今までのボン・イヴェールのイメージと変わってしまったのも今作に肯定的になれない一因かも。
ちょっといろいろ言ってしまったけど、良作ではあるし、グラミー賞の最優秀アルバム賞にもノミネートされてるから、音楽好きは必聴のアルバム。
来年の来日公演は盛り上がってほしい。行けない身で言うのが申し訳ないんだけど。
Bon Iver - U (Man Like) - Official Lyric Video